工業炉・加熱設備
電気加熱のメリット
電気加熱は、燃焼炉と比較して、高い加熱効率による省エネルギー性や作業環境の良さに加え、精密加熱・急速加熱・局所加熱・雰囲気加熱・高温加熱など、さまざまなニーズにフレキシブルに対応できます。これら電気加熱の特長を活用し、お客さまの課題を解決するお手伝いをさせていただきます。
生産工程で使用される主な加熱方式(誘導加熱、抵抗加熱、赤外線加熱)について原理と機器の一例を掲載いたします。
誘導加熱
- 交流電源に接続されたコイルの中に金属棒を挿入すると、コイルと金属棒は離れているにもかかわらず金属棒は表面から加熱されていきます。これが誘導加熱です。
- 交流電流によってできる交番磁束が被加熱物を貫通して非常に密度の高い電流、うず電流を誘導(電磁誘導という)して、そのジュール熱で被加熱物の表面が加熱されるからです。
- この方式は被加熱物に電流を流す直接加熱方式であり、被加熱物が導電体であることが条件になります。セラミックなどの絶縁体を誘導加熱する場合は、導電性の容器に被加熱物を入れて容器を誘導加熱して熱伝達させる間接加熱方式をとります。
[エネルギー量]
- コイルに交流電流[I1]を流すとコイルの周りに磁力の束[磁束:φ]が発生する
- 発生した磁束の近くに金属を置くと、磁力が作用し金属の中にうず電流[I2]が流れる
- うず電流[I2]と逆方向に移動する自由電子と金属自体を構成する金属原子の衝突[電気抵抗:R]により摩擦・振動熱[ジュール熱:Q=I22×R]が発生する
機器一例
抵抗加熱
抵抗加熱とは、抵抗に電流を流し、そのジュール熱で物体を加熱する方法のことをいいます。加熱したい物体に直接電流を流す直接抵抗加熱と、抵抗加熱で発熱させた発熱体から被熱体に熱を伝えて加熱する間接抵抗加熱があります。
[エネルギー量]
導電性被加熱物に直接通電することにより、内部抵抗が生じ、ジュール熱[Q=I2×R]が発生する
機器一例
赤外線加熱
物質を構成している原子のつながりや分子は、物質自体が持っている温度に応じた熱振動(分子運動や結晶の格子振動)をしています。
この熱振動の振動周波数に一致した電磁波が物質に照射されると、物質はこの電磁波を共鳴吸収してより激しい振動を起こし、温度が上昇します。
セラミック等を熱すると波長が3㎛~1mmの遠赤外線(電磁波)が発生し、プラスチック、ゴム、塗料、繊維、食品などの被加熱物に吸収され加熱されます。
[エネルギー量]
ある温度の黒体の単位面積から、全波長域に亘って単位時間に放射されるエネルギーの総量Qは、絶対温度で表した黒体温度T[K]の4乗に比例するという法則で、次式で表される
Q=σ・T4[W/m2]
(ここでσはStefan-Boltzmann定数で、5.67×10-8[W/(m2・K4)])
機器一例
各方式、各業種毎の採用事例は以下のリンク先参照